地域医療(在宅)にかける想い
大阪の下町、玉出の地にも少子高齢化の波は押し寄せています。
通院もままならない環境にいるお年寄りに医師として手を差し伸べ続ける美濃医院長に、その想いをお聞きしました。
第三回
在宅医療の重要性
開業から、十数年たちましたが、医療において、西成という地域で問題となっているのは、独居老人、老老介護、セルフネグレクト(※2)、認知症、そして孤独死等のお年寄りが増えていることです。
最初は、要請に応じる形で、数名から在宅医療をスタートしましたが、今ではどんどんその数が増えています。この地域には困っておられる方も、ものすごく多くおられる。びっくりするほど、ほったらかしにされてる人もいっぱいおられる。
たまに、ギリギリまで追い詰められてから病院に来られたような患者さんに出会うと「なんでもっと早くに来てくれへんかったんや、しんどかったろうに!」と思わず心の中で呟いてしまいます。
当たり前の医療を受けられない、また、受けない方が身近に沢山おられるだろうなと感じるたびに、医者として何ができるのかという想いに駆られます。
在宅医療の役割は、外来でも入院でもなく、患者さんの暮らしの中で、医師、看護師、そしてケアマネージャー(介護支援専門員)等の多職種の連携の下に、医療提供を行い、望まれれば看取りまで関わります。
これからもスタッフと力を合わせ、少しでも患者さんのお役にたちたいと思います。
※2 セルフネグレクト(自己放任)とは、おもに高齢者が自身の生活を放棄し、心身の安全や健康が脅かされること。